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「愛はかげろう」―雅夢


   窓ガラス 流れ落ちてゆく雨を
   細い指先で なぞってみる
   くもりとかして すべる指先に
   伝わる冷たさ 心にしみる

霧のように細い雨は、視界をさえぎるようにして、窓ガラスに張り付き、雨粒へと成長しながら、やがて、その重みに耐えかねるように、一筋一筋、流れ落ちてゆきます。

その道筋を、指先でなぞりながら、まるで自分の明日を占うように見つめながら伝わる冷たさは、何の冷たさ、誰の冷たさ…。

   愛はかげろう つかの間の命
   激しいまでに 燃やし続けて
   別れはいつも 背中あわせに
   人の心を ゆらして

愛は、幻影のように、おぼつかない実態ながらも、揺らめく陽炎(かげろう)に似て、炎のように燃え上がっていきます。

一瞬にして消え去るものであったとしても。

人は、出会いと別れの背中合わせを感じながらも、そのぬくもり、暖かさを求めて、心を揺らしていきます。

やはり、かげろうのように。

   別れ言葉を 口にする貴方は
   いつもとちがって やさしすぎた
   はき出すタバコの 煙の影が
   教えてくれた 偽り言葉と
   あつく いだかれた日々を
   倖せと言えば かなしい

飾り終えた人形を桐の箱にしまいこむように、想い出たちを、傷つけぬように、できる限りの優しさで包み込む、最後の愛。

紫煙をくゆらせながら、語る言葉と、語れぬ言葉。

その言葉のはざまの中で、愛し合った日々たちが、静かに手を振っています。

   愛はかげろう さめきった愛の
   過ぎ去る後に 残るものは
   いつも女の 乾いた涙
   さまよい歩く 迷い子


雅夢は、中京大学(当時) の三浦和人、中川敏一の男性デュオで、この「愛はかげろう」は、1980年(昭和55年)第19回ヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)、優秀曲賞を獲得しました。

前年の1979年(昭和54年)第17回ポプコンは、同じような男性デュオのチャゲ&飛鳥が「ひとり咲き」で入選しています。

チャゲ&飛鳥が、叙情的ながらも、非常に男性的な、はっきりとしたメロディーラインとハーモニーのデュオであるのに対して、雅夢は、きわめて女性的な美しいメロディと繊細なハーモニーを持つ男性デュオであり、非常に対照的であり、また稀少な存在でした。

この「愛はかげろう」がヒットしたのと同時期に、チャゲ&飛鳥が「万里の河」をヒットさせています。

あるいは、もしもという言葉は空しいのですが、チャゲ&飛鳥のその後と、雅夢のその後とを比較して考えるとき、陽炎(かげろう)のような存在感の希薄さが雅夢だったような気がします。

(初稿2001.3 未改訂)



愛はかげろう

    作詞/作曲 三浦和人

窓ガラス 流れ落ちてゆく雨を
細い指先で なぞってみる
くもりとかして すべる指先に
伝わる冷たさ 心にしみる
忘れ去られた 部屋の片隅
貴方の影 今もゆれてる

愛はかげろう つかの間の命
激しいまでに 燃やし続けて
別れはいつも 背中あわせに
人の心を ゆらして

別れ言葉を 口にする貴方は
いつもとちがって やさしすぎた
はき出すタバコの 煙の影が
教えてくれた 偽り言葉と
あつく いだかれた日々を
倖せと言えば かなしい

愛はかげろう さめきった愛の
過ぎ去る後に 残るものは
いつも女の 乾いた涙
さまよい歩く 迷い子

愛はかげろう つかの間の命
激しいまでに 燃やし続けて
愛はかげろう つかの間の命
激しいまでに 燃やし続けて

1980年(昭和55年)
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