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「池上線」―西島三重子

鉄道マニアではないので、車両の○○系とか○○型式、あるいは線路の広軌や狭軌の違いなどは、よく知らないのですが、同じ電鉄会社の路線であっても、それぞれの路線で走っている車両は、よく見ると路線ごとに違っているようです。

もちろん、電鉄会社ごとに特徴はあるのですが、一般的には、乗降客の多い駅の間を結ぶ路線には、新型車両が投入されて、そうでない路線には、使い古された車両が走るようです。

場合によっては、電鉄会社を越えて売却されて、都市部で走っていた車両が、地方のローカル線を走っていることもあります。

路面電車などは、すっかりと路線数が少なくなってしまい、残っている地方では、全国の路面電車の車両を見ることができます。

   古い電車のドアのそば
   二人は黙って立っていた
   話す言葉をさがしながら
   すきま風に震えて

大阪に住んでいるので、大手私鉄の近鉄、阪急、阪神、南海、京阪などは、その特徴的な車両と沿線地域の雰囲気は、およそ分かっていますが、この歌で歌われている東急池上線という路線は、どんな沿線地域を走っている、どんな雰囲気の路線なのか、実は、よく知りません。

しかし、むかしのこととは言え、東急池上線には、ドアから、すきま風の吹くような車両が、走っていたのでしょうか。(笑)

ちなみに調べてみると、東急池上線は、大正11年に池上電気鉄道として開業し、昭和3年に全線開通した古い路線のようです。

東京都の大田区の「蒲田」から、品川区の「五反田」間を結ぶ全15駅、全長10.9kmの通勤路線であり、現在は三両編成でワンマン運転、池上本門寺や洗足池などの名所、旧跡への足としても利用され、それぞれの駅舎を出れば、駅前には庶民的な商店街が延びているそうです。

   いくつ駅を過ぎたのか
   忘れてあなたに聞いたのに
   じっと私を見つめながら
   ごめんねなんて言ったわ

別れを決意した二人にとっては、明日の約束はおろか、もはや共通の話題を語り合うこともなく、沈黙がちになります。

その重い沈黙に耐え切れずに、意味なくつぶやいたことさえ、答えはうつろにしか返ってこないのです。

そして、一緒に乗っている電車は、同じ方向を向いて走っているというのに、二人の人生という名の線路は、はや分岐したかのように、遠ざかりゆくばかりなのです。

   最終時刻を確かめて
   あなたは私と駅を出た 
   角のフルーツショップだけが
   灯りをともす夜更けに 
   商店街を通り抜け
   踏切り渡ったときだわね
   待っていますとつぶやいたら
   突然抱いてくれたわ

いずれにしろ、多くの場合、恋人たち二人の納得づくの別れなどは、ほとんどないのかもしれません。

待たせることに、明日を見出せない男と、待つ事しか、明日が見えない女の間には、遮断機の下りた開かずの踏み切りのように、もはや心の通い合う行き来はないのです。

   池上線が走る町に
   あなたは二度と来ないのね
   池上線に揺られながら
   今日も帰る私なの

しかし、白いハンカチがしぼれるほどに濡れたとしても、それでも、逃げずに、やはり生きていかなければなりません。
それが世の定めというものなのかもしれません。

今回は、恋人たちのあいだが、車輪が枕木を越えるような規則的なリズムで、次第に次第に、そして、確実に遠ざかっていくようなイメージにしています。

チーン、チーン、チーンと、踏み切りの警笛が遠ざかるような効果音が入れば、もっと、雰囲気がでたかもしれませんd(^-^)ネ!(笑)


西島三重子さんは、渋谷西武チャオパルコ主催の「サウンド・フェスティバル」で入賞し、デビューしましたが、どちらかといえば、作曲家タイプの人で、同時期のポプコン入賞の中島みゆきさんほどには、脚光を浴びることは少なかったように思います。

しかし、木の実ナナさんの「うぬぼれワルツ」をはじめ、五木ひろしさん、石川ひとみさん、小柳ルミ子さんなど、優れた数多くの楽曲を提供しています。

(初稿2001.1 最終改訂2005.1)



池上線

作詞 佐藤 順英
作曲 西島三重子

古い電車のドアのそば 二人は黙って立っていた
話す言葉をさがしながら すきま風に震えて
いくつ駅を過ぎたのか 忘れてあなたに聞いたのに
じっと私を見つめながら ごめんねなんて言ったわ

泣いてはダメだと胸にきかせて
白いハンカチを握りしめたの

池上線が走る町に
あなたは二度と来ないのね
池上線に揺られながら
今日も帰る私なの

最終時刻を確かめて あなたは私と駅を出た 
角のフルーツショップだけが 灯りをともす夜更けに 
商店街を通り抜け 踏切り渡ったときだわね
待っていますとつぶやいたら 突然抱いてくれたわ

あとからあとから涙あふれて
うしろ姿さえ見えなかったの

池上線が走る町に
あなたは二度と来ないのね
池上線に揺られながら
今日も帰る私なの

1975年(昭和50年)
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