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「風がはこぶもの」―本田路津子

風というと、あなたは、まず何を思い浮かべますか?

じゃ、はい、そこのクレープ綿のステテコから、らくだのパッチに、早々と着替えたオジサン、どうぞ。
男性も年を取ると、冷え性になるんでしょうか?
あっ、ぼくは、お陰様でまだ大丈夫です。
おっと、パッチを靴下の中に押し込めるのは、いまではなくて、後まわしにしてください。(笑)

で、えっ、なんですか?

そこには ただ風が 吹いているだけ?
吹いているだけ〜吹いているだけ〜

なるほど、端田宣彦とシューベルツの「風」ですね。
これは名曲ですよね。
いまでは音楽の教科書に載っていますからね。

…で、風は、吹いているだけ。
オジサンは、老けているだけ〜って。(笑)

じゃ、次、そこのオバサン!
いま視線を外して、急に横を向いたあなたです。
オバサンと呼ばれて、知らんふりしないでね。
そう、あなたです。(笑)

うん、風が 泣いている?

風が泣いている…。
なんと、オバサン、詩的なセンスをお持ちですね?
えっ、むかしは、そのセンスを持って、お立ち台で、ディスコを踊ってたって?(笑)

ゴーゴーゴー 風が泣いている ゴーゴーゴー

あっ、なるほどね、そうか、ザ・スパイダースの「風が泣いている」でしたか。
じゃ、踊りは、ゴーゴーダンスですね。(笑)

では、こんどはお立ち台で、堺マチャアキさんのテーブルクロス引きにでも挑戦してくださいね。
おっと、ワイングラスの代わりに、旦那さんを立たせないようにね。
ひっくり返って怪我しますよ。
えっ、もう毛がないって、そりゃどうも。(笑)

あれ、そこのご主人、どうしましたか。
ひとりさみしくビール飲みながら、風に吹かれて…。
さっき、風に吹かれてスルメが飛びましたよ。(笑)

The answer, my friend, is blowin' in the wind,
The answer is blowin' in the wind.

おお、イングリッシュですねぇ!
教養あるね…、いつから? 今日よ!
これは、かなり古いネタですね。(笑)
なるほど、ボブ・ディランの「風に吹かれて」ですか。
まあ、風に吹かれているのは良いけど、ビールを飲みすぎて、痛風にならんようにね。(笑)

おや、そこの奥さんも、どうしましたか。
えらく、なにか哀しそうな顔して…。
えっ?

あなたに さよならって言えるのは 今日だけ?

はいはい、さよならでも、こにゃにゃちわでも、タリラリララーンでも、今日だけといわず、好きなだけいってください。(笑)
でも、今日だけのスーパーの特売日は、家計のために、忘れないようにね。(笑)

そうそう、それは、「22才の別れ」ですね。
つまり、風ですね。アーティストが風。
考えオチで、ザブトン一枚ってとこでしょうか。
しかし伊勢正三さん、お髭が薄くなりましたね。
風で飛んでしまったのでしょうかね。(笑)

えっと、次は、そこの白いブラウスのママさん。
ブラウスとコーディネートしたシックな黒のスカートが、ちょっと苦しそうなんですが、どうぞ。(笑)

あなたに会えた幸せ 感じて風になりたい?

いや〜、音楽館のマスター(館長)として、そういわれれば、光栄です。
でも、こんな面前でいわれると照れますよ…。
えっ、じゃなくて、風のハナシでしたか。
ええ、知ってますよ。
THE BOOM の「風になりたい」でしょ。
新しい曲も知ってるんだって思ったら、それって、ママさんコーラス合唱コンクール課題曲ですね。(笑)

さて、もうひとりくらいで終わりましょう…。

おっと、いまの季節に、お嬢さん風の薄着のかっこうしている…そこのご婦人、どうしましたか。
ちょっとお顔が紅潮してますが。
それにさっきから口元に手をあて、もぞもぞとして。
えっ、そんなちいさな声では聞こえませんよ。
もっと、大きな声でいってください。

はっ、はっ、は〜〜〜くしょん?

あっ、はい、どうもです。
風でなく、風邪だったんですね。
お大事に。(笑)

   街を歩く時に 風に耳をすませてね
   風の中にきっと 私の声がする
   夜に眠る時も 窓を叩く風の音
   どうぞ聞いて欲しい ささやく声がする

耳をすますということは大切なことです。
耳をすまさなければ聞けない音や声があります。

家の中や街の中で、これでもか、これでもかというくらいに、音や声が氾濫しています。

そして、それに呼応するかのように、自分の権利や利益、主張のみを声高に、叫ぶだけ叫んで、人のことや意見に、少しも耳を傾けないような風潮にもつながっています。

   いつも私は愛の想いを
   風の中に告げているのよ
   私の愛 何も 気づかないのあの人は
   だからせめて風よ 愛を伝えて

お願いです。
耳をすませてください。
聞いてください。
雄弁と饒舌にかき消されがちな声を。
微かな声を、声なき声を、こころの中の声を。

   今日も私は愛の言葉を
   通り過ぎる風に託すの
   私の愛 何も 気づかないのあの人は
   だからせめて風よ 愛を伝えて
   愛を伝えて

伝わってくるものが、きっとあるはずです。
耳をすませば…。
ほら、風の中にも…。



本田路津子さん、ほんだるつこさんです。
テレビやラジオのアナウンサーなどが、「ほんだろつこさん」と紹介している場合もありますが。(笑)

漢和辞典を調べて見ても、「路」は音訓読みで「ロ」「じ」「みち」、名乗り読み(名前にだけ使える特別な読み方)でも「じ」「のり」「みち」「ゆく」だけで、「る」とは出てませんので、当て字でしょうね。

子供の名前に使うことのできる文字は、戸籍関係法令で、常用漢字表に掲げられた漢字と、人名用漢字別表に掲げられた漢字、そして、カタカナまたはひらがなとされています。

これに則って、マスター(館長)は、娘に「ちひろ」というひらがなの名前を名付けたわけです。
漢字を知らなかったわけじゃないですよ。(笑)

しかし、法令には読み方の規定がありませんので、極端な話しでは、「館長」と書いて「ハンサム」と読ませてもいいわけで、「マスター」と書いて「イケメン」と読ませても、かまわないことになります。(笑)

落語のネタともなっている江戸時代の戯作者、安楽庵策伝の「醒睡笑」という本には、平林(ひらばやし)という人を訪ねていくのに、平林の読み方が分からずに、「平林(ひょうりん)か、平林(へいりん)か、平林(たいらりん)か、平林(ひらりん)か、一八十(いちはちじゅう)に林(ぼくぼく)か、それにてなくば、平林(ひょうばやし)か」、で悩み歩く小噺が載っていますが、確かに漢字の読みは難しいですね。

じゃ、ひらがな、カタカナならOKかというと、そうでもなくて、明治時代の小説家、斎藤緑雨は、ドイツの文豪「Goethe(ゲーテ)」のことを詠んだ、「ギョーテとは俺のことかとゲーテ言い」という川柳を残してます。

そういう意味では、朝鮮に多い姓の金さんは、韓国でも金大中(キム・デジュン)、北朝鮮でも金日成 (キム・イルソン)と、キムさんと統一されていますね。
さすがの金正日 (キム・ジョンイル)さんも、これにはなにも工作指示していないようです。(笑)

また、チョー・ヨンピル(趙容弼)はチョーだし、ケイ・ウンスク(桂銀淑)はケイ、ユンソナ(尹孫河)はユンで、
いまをときめく、ペ・ヨンジュン(裴容浚)はペ、李炳憲(イ・ビョンホン)もイ、張東健(チャン・ドンゴン)、元彬(ウォン・ビン)など、日本の姓の読みほど、多様複雑さはないみたいですね。

さて、出生届を出すときには、様式の中に名前の「フリガナ」を記入するようになっていますが、これは戸籍には記載されるようになっていません。

市町村によっては、住民票に「フリガナ」を入れている場合もありますが、住民基本台帳ネットワークの全国統一様式の「広域交付住民票」には「フリガナ」は入ってません。
住基ネットは大丈夫なんでしょうか…って。

…で、なんのハナシでしたっけ。(笑)

本田路津子さんのハナシですね。(笑)

本田路津子さん、1970年のデビュー時には、第二の森山良子さんと呼ばれました。

確かに、デビュー曲の「秋でもないのに」を聞いたときには、透明感のある高音部などは、森山良子さんによく似ているなと思いました。

そして、本田路津子さん、この「風がはこぶもの」、「ひとりの手」などがヒットし、またNHK朝の連続テレビ小説「藍より青く」の主題歌「耳をすましてごらん」(1990年に南野陽子さんがリメイク)もヒットしました。

結婚後は渡米し、現在は全国の教会を中心に、賛美歌シンガーとして活躍されているようです。

なお、「風がはこぶもの」の作曲者は、兄の菅原孝さんと「白いブランコ」をヒットさせたビリーバンバンの弟の方の菅原進さんです。


【追記】
本田路津子さんさんの「るつこ」の読み方に関して、鹿児島にお住まいの方から情報提供を頂きましたので、追記させてもらいます。

日本を代表するキリスト教思想家の内村鑑三は娘に「ルツ子」と名づけられたそうで、ルツは、旧約聖書「ルツ記」に出てくる「ルツ」という女性で、内村ルツ子は夭折しますが、父内村鑑三はゆるぎなく、さらに信仰心を篤くされたということです。
このことから、キリスト教に理解のある方は、「ルツ記」に出てくる「ルツ」や「ナオミ」という女性の名前にあやかってつけられる方も多いそうです。

(初稿2004.10 2007.5)


風がはこぶもの 

作詞 山上路夫
作曲 菅原 進

街を歩く時に 風に耳をすませてね
風の中にきっと 私の声がする
夜に眠る時も 窓を叩く風の音
どうぞ聞いて欲しい ささやく声がする

いつも私は愛の想いを
風の中に告げているのよ
私の愛 何も 気づかないのあの人は
だからせめて風よ 愛を伝えて

今日も私は愛の言葉を
通り過ぎる風に託すの
私の愛 何も 気づかないのあの人は
だからせめて風よ 愛を伝えて
愛を伝えて
1970年(昭和45年)
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