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「木枯しに抱かれて…」―アルフィー

風を気象学的に言えば、大気の流れであり、物理学的には、気圧の高いところから低いところへの大気の移動であり、さらに詳細には、風は、風向と風速で解析される。

日本の太平洋岸で春先に初めて観測される南寄り(東南東から西南西)の風速8m/s以上の強い風は、春一番と呼ばれ。また同様に、晩秋に初めて観測される北寄り(北から西北西)の風速8m/s以上の強い風は、木枯し1号と呼ばれる。

そのほかに、我が国では、冬に吹く北西方向からの季節風を「北風」、春から初夏にかけて、南から吹く風は南風で、「はえ」とよぶ地域もあり、嵐の前ぶれの風とも言われる。

春に吹く東からの風は東風で、「こち」と呼ばれるのは承知のとおり、そして、冬に西からの風は、西風で、「ならい」とよぶ地域もある。

また、地域特有の風としては、関東地域で冬に見られる乾いた冷たい北西風は、「からっ風」と呼ばれ、これを利用してかんぴょうなどの特産品を生み出し、東北北部の夏場を中心に吹く、冷たく湿った北東の風は、「やませ」として農作物に冷害をもたらす風もある。

   出逢いは風の中 恋に落ちたあの日から
   気づかぬうちに心は あなたを求めてた
   泣かないで恋心よ 願いが叶うなら
   涙の河を越えて すべてを忘れたい
   せつない片想い あなたは気づかない


さまざまな場所でさまざまに吹く風があり、さまざまな人にさまざまな風が影響を与える。

順風とは、物事がすべて順調に進行していくことのたとえで、追い風とも言う。
その追い風を、帆いっぱいに受けて、船が快く進むことから、人生などをそれに例えて、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)とも言う。

一方、進もうとする方向から、反対に吹いてくる風が逆風で、向かい風とも言う。
進行方向から吹いてくるために、進むには、その風に立ち向かわなければならない。

しかし、いずれにしろ、風の中にあることは確か。
そして、人が出逢うのも、やはり風の中。
別に木枯しや嵐の中でなくても、弱弱しい風であっても、風の中。

いや、無風であっても、風の中にあることがある。
つまりは動けば、真空中にでもいなければ、その動きが風を感じるはずだ。
しかし当然、動かなければ、風にならない。

ただし、風の中の出逢いが必ずしも、順風とはならない。
逆風になることだってある。
風が吹けば桶屋が儲かるような、奇跡的な風も、まずは起らない。

   あなたの背中見つめ 愛の言葉ささやけば
   届かぬ想いが胸を 駆け抜けてくだけ
   哀しい程の星空に 天使の声がする
   あきらめきれぬ恋でも 夢は見ていたいから
   せつない片想い あなたは気づかない


ところで、人との出逢いは、なにかしら時めいて、心おどる瞬間がある。
確かに、その時、胸の中で、風が吹いた、ような気がした。

しかし、現実には、そうそうに運命的な出逢いはないものだ。
相手に、すでに素敵な恋人がいる。
あるいは、相手が異性に興味を持たない。
仕事だけが、あるいは趣味だけが好きな相手。

出逢うのが遅すぎたのかもしれない。
あるいは出逢うのが間違っていたのかもしれない。

そんな想いは、おどる心を一瞬にして凍らせて、胸が締め付けられる。
叶わぬ想い、心が切り刻まれるような想い、だから、切ない想い。

   その瞳に運ばれた 涙がせつないね
   眠れぬ夜をいくつも通り過ぎてきた
   木枯しに抱かれて 心はあなたへと


せつない片想い。
片想いはせつない。
しかし、片想いだからこそ、心はいかようにも想像の翼を広げることができる。

心の中のあなたは、いつも優しい。
まぶしいあなたの笑顔は、いつもこちらを向いている。
あなたの天使のような声は、いつもささやいてくる。

片想いだからこそ、眠れぬ夜に、思い巡らせることができる。
片想いだからこそ、木枯しに抱かれても、温かい体温を感じることができる。

   恋人達はいつか 心傷つくたび
   愛する意味を知る 涙・・・やさしく
   その手に確かな夢をつかんで 
   白い季節の風に吹かれ 寒い冬がやってくる
   激しく燃える恋の炎は 誰も消せはしない


   せつない片想い あなたは気づかない
   せつない片想い あなたは気づかない
   せつない片想い あなたは気づかない


でも、やはり片想いはせつない。
せつない片想い。
そんなときは、やはり、木枯しよりも、抱き枕を抱いて、眠ろう。(笑)



アルフィーは、正確には、THE ALFEE(ジ・アルフィー)というグループ名で、メンバーは、高見沢俊彦さん、坂崎幸之助さん、桜井賢さんの3人組で、1974年(昭和49年)にデビューした当時は坂崎さんをリーダーとするフォークバンド風、1982年(昭和57年)以降は、高見沢さんを二代目リーダーとするロックバンド風になっています。

この曲は、アルフィーの多くの楽曲を手掛けている、高見沢俊彦さんが、往年のアイドル歌手、キョンキョンこと、小泉今日子さんへの提供曲としてリリースされ、キョンキョンがヒットさせたのちに、アルフィーとしても、高見沢さんのハイトーンな声のセルフカバーでリリースしています。

アルフィーの曲もキョンキョンの曲も、リアルにヒットした時にマスター(館長)は聞いていたはずでしたが、今回、青春音楽館で「木枯しに抱かれて」を取り上げるに際して、改めて、小泉今日子さんへの提供曲と、アルフィーのセルフカバー曲の原曲を聴き比べて気が付きました。

一緒だと思っていた、歌詞と曲が一部異なっていました。
ぼんやりと聞いていた、マスター(館長)は気が付きませんでした。

1986年(昭和61年)にリリースした小泉今日子さんのバージョンでは、歌詞は「夢は見ていたいのよ」で、「夢は見ていたいから」に変更、また、「その瞳に…心はあなたへと」のフレーズはキョンキョンの唄には無く、「誰も消せないの」は「誰も消せはしない」となっていました。

「のよ」というような、語尾の変更については、女の子言葉が、さすがに男子三人組が唄えば、「おねえ言葉」みたいになるのを避けたかったのでしょうか、また挿入された歌詞は、「木枯しに抱かれて」という曲なのに、「木枯らし」という文字・歌詞がまったく出てこないため、「木枯しに抱かれて」というフレーズを入れたかったのかなとも思います。

あるいは逆に、もともとはこのアルフィーバージョンの方が先に出来ていて、キョンキョンへの提供の際に、アイドルの曲らしくなるよう、一部変更したのかなとも思います。

いずれにしろ、このタイトルも、細かいことですが、1987年(昭和62年)にリリースのアルフィーバージョンは「木枯しに抱かれて…」と、「…」が付いてますので、目を点にして、ご注目ください。(笑)

                                                       (初稿2013.12 未改訂)


木枯しに抱かれて
作詞/作曲 高見沢俊彦

出逢いは風の中 恋に落ちたあの日から
気づかぬうちに心は あなたを求めてた
泣かないで恋心よ 願いが叶うなら
涙の河を越えて すべてを忘れたい
せつない片想い あなたは気づかない

あなたの背中見つめ 愛の言葉ささやけば
届かぬ想いが胸を 駆け抜けてくだけ
哀しい程の星空に 天使の声がする
あきらめきれぬ恋でも 夢は見ていたいから
せつない片想い あなたは気づかない

その瞳に運ばれた 涙がせつないね
眠れぬ夜をいくつも通り過ぎてきた
木枯しに抱かれて 心はあなたへと

恋人達はいつか 心傷つくたび
愛する意味を知る 涙・・・やさしく
その手に確かな夢をつかんで 
白い季節の風に吹かれ 寒い冬がやってくる
激しく燃える恋の炎は 誰も消せはしない

せつない片想い あなたは気づかない
せつない片想い あなたは気づかない
せつない片想い あなたは気づかない

                            1987年(昭和62年)
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