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「心の旅」―チューリップ

最初、ラジオでこの曲を聞いていたときに、なんでいつも曲の途中から、オンエアするんやろ、と思ったくらい、中途半端な印象の曲でした。(笑)

あ〜、こん、やだけは〜と、これほど日本語の音韻リズムを無視している曲も珍しいし、リフレインは、やだけは〜、やだけは〜としか聞えない。(笑)

しかし、歌いやすいし、弾き易い曲でした。

コード進行はシンプルで、ギターは、初心者でもなんとか格好がつく、単純なストローク奏法でまかなえるし、上から(アップストローク)でも、下から(ダウンストローク)でも、違和感がない。

ボーカルも、すべてユニゾン(単一パート)だけなので迷うことがない。

いちど、リバイバルで少しヒットしたおかげで、カラオケなんかででも、結構、老若男女が歌える曲というのもありがたいですし。(笑)

   ああ だから今夜だけは君を抱いていたい
   ああ 明日の今頃は僕は汽車の中

汽車はとっくのむかしに廃止されてますが、夜行列車っていうのも、もう死語なんでしょうかね。

最近は、上京するときなんかは、新幹線、飛行機あるいはマイカーなんかが多く利用されて、帰省などもまた同じです。

時間をかけないせいでしょうか、なんか、これから遠くへ旅立つのだ、という、覚悟の「旅」というものがなくなったみたいです。

まあ、現代において、この歌が似合うシーンを、無理に探すとしたら、やはり遠距離恋愛でしょうか。

   旅立つ僕の心を知っていたのか 
   遠く離れてしまえば愛は終わるといった

しかし、離れて募る恋心というのも、やはり賞味期限があるようです。

そして、難儀なことには、その賞味期限が人それぞれによって異なるということです。

特に、意に反して残される側に立つ者の方が、思い出を大切にする分、賞味期限が長いというか、期限切れが遅い。

しかし、その反動で、いったん切れると、心変わりしたことに対して、それを離れる原因を作った相手の非に転嫁できる分、強いように思います。

   愛に終わりがあって心の旅が始まる
   ああ だから今夜だけは君を抱いていたい

ともかく非常に身勝手なフレーズです。

もうすぐ愛が終わるから、思い出として、今夜は抱きたい、最後に君を抱きたい…、なんともはや男の(^^ゞ身勝手な …、でも、ここだけの話やけど、やはり真理の心理ですね。(笑)

まあ、応じる女性も女性なんやけど、これが男女の機微なんでしょうね。(笑)

さすがに、作詞したチューリップの財津和夫さんも、これでは、あまりに男の身勝手すぎる歌だと思ったのでしょうか。(笑)

もうひとつの名曲「サボテンの花」では、この歌とは反対に、同棲していた女性が、ほんの些細なことで、一方的に洗濯途中に逃げ出しちゃうという、日常的にして、非日常な情景を歌にしています。

こちらの方は、逃げられた男性の、非常に女々しい一面を見事に描き出して、「心の旅」との均衡をとっているようです。(笑)

(初稿1999.7 最終改訂2007.1)



心の旅

 作詩/作曲 財津和夫

ああ だから今夜だけは君を抱いていたい
ああ 明日の今頃は僕は汽車の中
旅立つ僕の心を知っていたのか 
遠く離れてしまえば愛は終わるといった
もしも許されるなら眠りについた君を 
ポケットに詰め込んでこのまま連れ去りたい
ああ だから今夜だけは君を抱いていたい 
ああ 明日の今頃は僕は汽車の中

賑やかだった街も今は声を静めて 
何を待っているのか 何を待っているのか
いつもいつの時でも 僕は忘れはしない 
愛に終わりがあって心の旅が始まる
ああ だから今夜だけは君を抱いていたい 
ああ 明日の今頃は僕は汽車の中

1973年(昭和48年)
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