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「時のいたずら」―松山千春

   木枯しに震えてる 君の細い肩
   思い切り抱きしめて みたいけれど

晩秋のころに、お天気図が、日本列島を挟んで西に高気圧、東に低気圧という配置になると、シベリア大陸で冷された空気が、その高気圧から吹き出してきます。

二十四節気の立冬の直前(11月7日頃)、霜降(10月23日頃)から冬至(12月21日頃)までの間に、この冬型の気圧配置で、最大風速が毎秒8メートル以上を記録した最初の日の風のことを、気象庁は木枯らし1号と命名します。

鮮やかに赤や黄色に色づいた木々たちの葉を吹き落として、枯れ木のようにしてしまう木枯らし…。
でも、枯葉の落ちた木々たちには、もう来年の春に、新芽や新芽となる細胞が、木枯らしに震えながら成長しています。

木枯らしの中でも、抱き合い続ければ、暖かい…。
でも…。
木枯らしが吹いて、この枯葉たちを落とさなければ、枯葉が成長を阻害して、木々たちの新緑の春には、ならないのです。

   今日はやけに君が 大人に見えるよ
   僕の知らない間に 君は急に

木々たちが春に芽吹くために、もう秋から準備しているように、人たちもまた、こどもから大人へ…急に成長するわけでもなく、徐々に大人への準備を整えているのです。
そして、あるときを境に、急に大人びて見えてくるだけなのです。

時間の経過は、人それぞれ、そして、それぞれの状況によって、さまざまな速度で流れていきます。
決して、物理学的な時間で均一に流れてるわけではありません。
楽しい時間は短く、あっというまに過ぎて、苦痛の時間は永遠の時を刻むかのように、長く感じられる。
待つ時間は長く感じられ、待たせる時間は短く思う。

   時のいたずらだね 苦笑いだね
   冷たい風が今 吹き抜けるだけ

まさしく、こんな、時のいたずらですね。
二人は同じ時間を過ごしていたと思っていたのに、気がついたら、一人時間差攻撃だったって…ほんま、苦笑いですね。(苦笑)

   交わす言葉もなくて すれ違う心
   ひとり歩き出した 君を見つめて

いったんすれ違えば、あとは、どんどん遠ざかっていきます。
直線の交わりに似て、どんどん近づいて、交点に達したあとは、どんどんと離れていくものです。
あとは、後ろ姿を見送るほかはないのです。

   むかし愛した人を 思い出しただけさ
   いまさら言えないよ それは君だと

いまさら言えないし、また言ったところで、昨日にもどる明日がないように、むかしに戻ることはできません。
思い出にできる人と出逢った…と思うしかありません。

   時のいたずらだね 苦笑いだね
   冷たい風が今 吹き抜けるだけ

木枯らしが吹いたあとは、高気圧は移動性となって、日本列島を包み込み、晴れ間が広がっていきます。
朝晩は冷え込むものの、日中は穏やかな春のような陽気になります…いわゆる、これが、小春日和です。
そして、また木枯らし、冷たい雨、小春日和と繰り返して、本格的な冬がやってくるのです。

  こがらし こがらし さむいみち
  たきびだ たきびだ おちばたき
  「あたろうか」「あたろうよ」
  そうだん しながら あるいてく    「たきび」作詞/巽聖歌

焚き火のことを、「どんど焼き」と言います。
むかしは、道端や公園などでもよく見られましたが…。
寒くなったら、青春音楽館の「どんど焼き」に、どんどんあたりに来てください。なお、さつも芋持参のこと。(笑)


松山千春さんは「旅立ち」でデビューし、この「時のいたずら」でヒットして、「季節の中で」でその名を確立しました。
千春さんが、北海道に足寄という場所があることを知らした功績は大なるものがありますが、そのあとに、有名にしたムネオさんが、ダイナシにしましたね。(笑)

(初稿2002.11 未改訂)


時のいたずら

作詞/作曲 松山千春

時のいたずらだね 苦笑いだね
冷たい風が今 吹き抜けるだけ

木枯しに震えてる 君の細い肩
思い切り抱きしめて みたいけれど
今日はやけに君が 大人に見えるよ
僕の知らない間に 君は急に

時のいたずらだね 苦笑いだね
冷たい風が今 吹き抜けるだけ

交わす言葉もなくて すれ違う心
ひとり歩き出した 君を見つめて
むかし愛した人を 思い出しただけさ
いまさら言えないよ それは君だと

時のいたずらだね 苦笑いだね
冷たい風が今 吹き抜けるだけ

時のいたずらだね 苦笑いだね
冷たい風が今 吹き抜けるだけ

1977年(昭和52年)
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