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「翼をください」―赤い鳥

   今 私の願い事が
   かなうならば翼が欲しい

この歌を聴いて、ギリシャ神話の中に出てくるイカロスの翼のことを連想する人も多いと思いますが、ともかく、連想しようにも、イカロスの翼について知らないという人もいるかも知れないので、まずは、おさらいから。(笑)

『昔、ギリシアにダイダロスという偉大な発明家がいました。しかし、ダイダロスはいろいろな事情によって、クレタ王ミノスによって、怪物ミノタウロスを閉じこめるために自ら作った迷宮(ラビリンス)に息子イカルス(イカロス)と共に幽閉されました。ダイダロスは、自分と息子のために、鳥の羽を集めてロウで固め、翼を作って、迷宮から脱出を図りました。ダイダロスは、無事にシシリアに逃れ、後に斧や船のマストを発明したと言い伝えられます。一方、息子のイカロスは、脱出の際に、父親の注意に耳を貸さず、喜びのあまり天高く飛びすぎたため、太陽の熱で翼のロウが溶けて、海に墜落して死んでしまったということです。』

この歌を聴いた当時は、この神話は、向上心にあふれたイカロスが、あまりに天高く飛びすぎたために起きた悲劇、と解釈して読んでいましたが、今読み返してみると、結局は、イカロスは父親の意見を聞かない単なる愚かな息子というような感じもします。

そう…当時は自分の年齢がイカロスに近くて、今はイカロスの父親の年齢になっているという、立場の違いからでしょうか。
もっとも、我が父子は、ともどもに、イカロス父子のように、なんの翼をもたぬ身ゆえに、大空どころか、地上30センチも飛べやしませんが。(笑)

   この 背中に鳥のように
   白い翼つけてください

いま思えば、赤い鳥なのに、白い翼が欲しかったんですね。(笑)
小中学校の音楽の教科書にも採用されるような、健全な内容の歌ですから、赤い鳥に、もし白い翼があれば、赤と白で、紅白歌合戦に出れたのかもしれません。(笑)

   子供の時夢見たこと 
   今も同じ夢に見ている

夢は夢に終るからこそ、夢なんだという人がいます。
いや、一方では、ドリーム・カム・トゥルー、Dream cam true…夢は必ずかなうものだという人もいます。

いずれにしろ、最近の子供たちは、幼くして知識や情報が豊かすぎるのでしょうか、あまり夢を見ていないようです。
プロ野球選手になるには、才能や練習だけでなく、小さい頃からリトルリーグで活躍していなくちゃいけない、弁護士になるには偏差値がなんぼ以上の法科大学院に進学しなくちゃいけない、政治家になるには、親も政治家でなくちゃいけない、あるいはそうでなければ、人からどう思われようと、政治献金を厚かましく集めるような人間でないといけない(笑)、などなど、非常に現実的です。

もっとも、親も親で、息子が小学校の卒業文集に、将来は人のために役立つ医者になりたいと書いているのを読んで、医学部っていったいなんぼくらいかかるんやろか、と、すぐ現実を考えてしまう親ばかもいます。σ(^_^)我が家のはなしですが。(笑)

   この大空に翼をひろげ飛んで行きたいよ
   悲しみのない自由な空へ
   翼はためかせ行きたい

ともかく、子供の時にすら、自由に夢を見ることさえ許されないような社会は、やはりどこか間違ってる、そんな気がします。
未来を担う子供たちに、大空に翼を広げて空に舞うような、でっかい夢を見させてあげたいですね。
もちろん夢を見させようとする大人自身が、夢を失っているようでは説得力に欠けるんですが(^^ゞ ポリポリ

「赤い鳥」は、後藤悦治郎さんと平山泰代さんの男女のフォークデュオに、山本(新居)潤子さん、山本俊彦さん、大川茂さんら三人が加わって結成されたグループです。
その後、「赤い鳥」は解散し、後藤さん、平山さんの御夫婦が「紙ふうせん」、残りの三人が「ハイ・ファイ・セット」を結成しました。

なお、蛇足ですが、「赤い鳥」と、「五つの赤い風船」というグループを混同している人が結構いるようです。
「五つの赤い風船」は、時代的には、「赤い鳥」より、ほんの少し前に活躍して1972年に解散した、西岡たかしさんらを中心としたグループで、代表的な曲として「遠い世界に」があります。
「遠い世界に」と、「翼をください」の中の歌詞のイメージが少し似通っているし、鳥と風船の違いがあっても、どちらもお空を飛んでますし、しかも、ビジュアル的にも、同じく「赤」ですからね。(笑)
また、「赤い鳥」が解散して「紙ふうせん」になったことを、いつのまにか、「五つの赤い風船」が「紙ふうせん」になったと、うっかり思い込んでいるのかも知れません。
ただ、それを堂々と記述している音楽系の個人のHPが多いのには呆れてしまいます。以上、ちょっとした、「こだわり」でした。(笑)

(初稿2002.4 未改訂)


翼をください

作詞 山上 路夫
作曲 村井 邦彦

今 私の願い事が
かなうならば翼が欲しい
この 背中に鳥のように
白い翼つけてください

  この大空に翼をひろげ飛んで行きたいよ
  悲しみのない自由な空へ
  翼はためかせ行きたい

子供の時夢見たこと 
今も同じ夢に見ている

  この大空に翼をひろげ飛んで行きたいよ
  悲しみのない自由な空へ
  翼はためかせ行きたい

1971年(昭和46年)
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