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「名もない花」―さだまさし

     むかし あるひとに恋をした
     とてもかなしい恋だった

「むかし、むかし、あるところに…。」
そう、ひとは誰も、むかし話を聞いて育った。
そして、やがて、その日々がむかし話となった。

あるひとがいた。
忘れ得ぬひとだった。
しかし、そのひとの名を、いまはもう、想いだせない。

かなしい恋だった。
でも、なにがかなしかったのか。
それから、かなしいことに、いっぱいであった。
だからもう、そのかなしかったことを想いだせない。

     むかし そのひとが好きだった
     花は名もない花だった

むかし、四つ葉を探したことがあった。
そして名もない花をみつけた。
そのひとは、その白い花で冠を編んでくれた。

それから、むらさき色の小さな花をみつけた。
それも名もない花だった。
でももう、そのひとはいなかった。

忘れたくない名もあった。
忘れてしまいたい名もあった。
忘れてしまった名もあった。

それでもかけがえのない名。
あなたという、かけがえのないひとの名。

ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜ら〜
う〜う〜う〜う〜う〜う〜う〜



この曲は、1984年(昭和59年)12月にリリースされた、さだまさしさんのソロデビュー後9作目の「Glass Age ―硝子の世代―」というアルバムに収録されています。

調べてみると、当時のアルバムでは、この曲のさださんご本人の解説(ライナーノート)として、「ムラサキカタバミ」と「シロツメクサ」のイラストが描かれていたとのことで、そういえばそんな、かすかな記憶がありますが、あまり気にしていなかった。(笑)。

アルバムの1曲目と12曲目、つまりはオープニングとエンディングに配置された曲で、この手法は「帰去来」の「多情仏心」という曲、「夢供養」の「唐八景-序」という曲と同じ手法ですが、この「名もない花」は、オープニングとエンディングで、歌詞が違っています。

なお、今回のMIDI曲では、オクターブ上げたメロディをホイッスル音で入れてみたりしていますが、実際の楽曲では、それぞれの歌詞のあとに、「ら〜ら〜ら〜」や「う〜う〜う〜」という、さださんらしい、北の国から聞こえてくるような、遠吠え(スキャット)が入ります。(笑)

(初稿2010.10 未改訂)


名もない花

作詞/作曲 さだまさし

むかし あるひとに恋をした
とてもかなしい恋だった


むかし そのひとが好きだった
花は名もない花だった


1984年(昭和59年)
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