青春音楽館トップページへ

「弥生つめたい風」―N.S.P

桜ふぶき…から、遠い日のあの人のこと…を想い出す人より、遠い山…遠山の金さんを連想する人の方が多いかな。(笑)

大岡裁きで有名な名奉行、大岡越前守忠相(ただすけ)と並ぶ、遠山左衛門尉(さえもんのじょう)景元(通称金四郎)が、江戸北町奉行として御出座したお白州で、犯行を認めずシラを切る悪人に対して、業をにやして、「この桜吹雪が目に入らねぇか!」 って、片肌を脱いで見せる痛快時代劇がありますね。

我が国では、裁判の長期化が指摘されていますが、この際、裁判官には、桜ふぶきの彫り物し、長屋に住む遊び人になって、市中を回ってもらって、さっさと判決してもらいたいですね。(笑)

   桜ふぶき舞い落ちる
   古い並木のすみっこで
   待っている君のこと知っていたけど

もっとも、刑事事件ならぬ、恋愛事件は、往々にして、目撃情報が少なく、時として、真相は藪の中にあります。

ともあれ、この歌詞にある難事件をいちど検証してみましょう。

桜ふぶきの舞い落ちる場所で待っている彼女を、彼はどうして知っていたのでしょうか。
そして、彼女が待っているのは、彼なのでしょうか。
あるいは、ほかの彼なのでしょうか。

彼だとすれば、弥生の風より、冷たい彼の罪は、万死に価します。
いきなり、死罪。(笑)

もし、ほかの彼だったということであれば、彼女に裏切られたわけですから、彼に一定の情状酌量の余地が働くのですが、さらに、次の証言が、さらに謎を呼びます。(笑)

   帰る時は口づけそっとしてねといった君を
   おかしいよと おかしいよと
   笑った僕でした

彼は、別れ際のくちづけを、どんな風にしていたのでしょう。
彼女が、そっとしてね、といったところを見ると、普段は、かなり、濃厚、かつ荒っぽい、くちづけだったのでしょうか。(笑)
フレンチ、ディープ…、(/。\)イヤァン!ハズカシイ〜♪ (笑)

くちびるが腫れるくらいならば、傷害罪も併合すべきでしょう。(笑)
ドメスティック(domestic)でなくても、恋人同士であっても、バイオレンス(violence)はいけません。
さらに、彼女の真摯な懇願に対して、おかしいよ、おかしいよと笑うのは、侮辱罪の構成要件にも該当しそうです。(笑)

   弥生の空 風が強くても
   桜の花 風に散らないで

いずれにしろ、桜の開花はあっというまに早いものですが、また散るのも早いものです。
三日見ぬ間の桜かなって、ことばもあります。
風が強ければ、なおさらです…。

   こんなに早く散る花を
   前に一度おぼえてる
   君と僕が別れた年のこと

加齢によって、忘れようにも、おぼえられない昨今です。(笑)
桜は、ほんま咲いたかと思うと、すぐに散ってしまい、潔いというより、なんか、せわしない花ですよね。(笑)

   花びら髪にかざして だまったままで君は
   くしゃくしゃに くしゃくしゃに
   顔をゆがめたね

だまったままで、くしゃくしゃに顔をゆがめたというのは、一般的には、泣き顔になったということでしょう。
しかし、ここでは、短絡的に彼のことで、彼女が泣いたと予断を持って断定すべきでなく、彼の弁護側からの申立てを待つまでもなく、彼女の桜花花粉症の既往歴も調べる必要があるようです。
もっとも、桜の花弁による花粉症って聞いたことないです。(笑)

   卯月の空 風が強くても
   桜の花 風に散らないで

ここで、時間の経過に着目する必要があります。
弥生、つまり三月から、卯月、つまり四月になっています。
すでに、一か月が経過しているわけです。

桜の花が、一か月も咲きつづけたのでしょうか。
平安時代のプレイボーイ、在原業平(ありはらのなりひら)は、

  世の中にたえて桜のなかりせば
        春のこころはのどけからまし

と詠みましたが、一か月咲きつづけたら、狂い咲きですよね。
まあ、だから、プレイボーイ、女狂いなのか。(。・・。)(。. .。)(笑)

   さようならっていったのは
   君の方だったし
   後ろ姿に手をふったのは僕だったし

さて、ここで、さらなる重要証言が出ました。
さよならと、別れを告げたのは、彼女の方だというのです。
そして、彼の方は、後ろ姿に手をふったというのです。

で、あれば、彼女は自分の意思で彼との別れの決断をし、彼はまた彼女の意思を尊重するフェミニストな彼、という図式になります。

果たして、これが正しいのか、どうか。
彼が、自分から言わずに、巧妙に仕組んで、彼女にさよならって言わせた、という可能性も、捨てきれません。
検察側としては、さらに追求する必要があるようです。

   桜ふぶき舞い落ちる 長い並木を最後まで
   とても小さく とても小さく
   点になるまで

しかし、一方で、小さく点になるまで見送る彼に、そんな大それたことができるようにも思えません。
結局は、彼は小心者というイメージも浮かび上がります。
いずれにしろ、結論は、嫌疑不十分で立件困難です。(笑)

   五月の空 風が強くても
   桜の花 風に散らないで

ここで、さきほどの時間の経過を思い出してください。
弥生から、卯月、そして五月になっています。
すでに、二か月が経過しているわけです。

こんなに咲きつづけるのは、ドライフラワーの桜なのか。(笑)

可能性として考えられるのは、桜前線です。
つまり、九州地方や四国地方は、おおむね三月下旬、近畿地方や関東地方は、おおむね四月上旬から中旬、そして東北地方は、おおむね四月下旬から五月上旬に、桜の季節を迎えます。

つまりは、この時期に、日本列島を南から北に旅すれば、桜の花を見つづけることができます。

  ねがわくば 花の下にて 春死なん
     そのきさらぎの もち月のころ  
                        西行(さいぎょう)法師

陰暦のきさらぎ(如月)ですから、やはり弥生。
どうせ死ぬなら、花の下にて、散りゆく花びらに埋もれて、この世に別れを…てなことを思う人は、日本列島を縦断すれば可能ですから、旅行代金を貯金しておきましょう。(^^ゞ

もっとも、冬場、夏場の死亡率が高いので、無駄になるかも。
無駄にしたくないとき、ぼくに貯金通帳を預けなさい。
それを元手に、ぼくは、もう一花くらい咲かせて見せますから。(笑)
もっとも、そのときには花咲か爺さんになるかも。(笑)

   五月の空 風が強くても
   桜の花 風に散らないで

  さまざまな事 おもひ出す 桜かな
                           松尾芭蕉

と、いずれにしろ、桜はいろんなことを思い出させてくれます。
でも、ともかく、 散る桜 残る桜も 散る桜 
…やはり、散らない桜はないと心得るべきでしょう。

まあ、花より団子とも言いますから、散ってしまう、うたかたの夢よりも、いまの生活を大切にってことでしょうか。
ちなみに、桜の異名は、夢見草です…。



ついつい、めんどくさくてNSPと表記してしまいますが、本来は、New Sadistic Pink(ニュー・サディスティック・ピンク)というグループ名の略称ですから、やはりN.S.Pが正しい。
もっとも、「なっとう、そらまめ、ピーナッツ」のお豆グループの略称だという噂も、ファンの中では根強い。(笑)
さしずめ、N.S.Pリーダーの天野さんは、人の心に糸をひくような歌詞や曲づくりで、ほんま納豆かもしれませんね。(笑)
ちょっと臭うところが、健康にいいかも。(笑)

(初稿2003.3 未改訂)


弥生つめたい風

作詞/作曲 天野 滋

桜ふぶき舞い落ちる
古い並木のすみっこで
待っている君のこと知っていたけど
帰る時は口づけ そっとしてねといった君を
おかしいよと おかしいよと
笑った僕でした

弥生の空 風が強くても
桜の花 風に散らないで

こんなに早く散る花を
前に一度おぼえてる
君と僕が別れた年のこと
花びら髪にかざして だまったままで君は
くしゃくしゃに くしゃくしゃに
顔をゆがめたね

卯月の空 風が強くても
桜の花 風に散らないで

さようならっていったのは
君の方だったし
後ろ姿に手をふったのは僕だったし
桜ふぶき舞い落ちる 長い並木を最後まで
とても小さく とても小さく
点になるまで

五月の空 風が強くても
桜の花 風に散らないで

五月の空 風が強くても
桜の花 風に散らないで

1977年(昭和52年)
「青春音楽館」トップページへ