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「童話作家」―さだまさし

帰去来
[アルバム] 1976.11.25

第13回ひろすけ童話受賞作品 「おばあちゃんのおにぎり」 (くもん出版)
  〜あらすじ〜
    初めての誕生会。小学一年生の<ぼく>は、プレゼントをかかえてやってきた友達や、色とりどりの料理が並べられたテーブルを前に、もう、天にも昇る気持ちだった。大好きなおばあちゃんも、<ぼく>が絶対によろこぶプレゼントをくれるというから、楽しみだ。
  おばあちゃんは若いころ、ロシアの草原を馬でかけぬけたり、砂金をほったり、馬賊の親分と仲よくなったりと、まるで冒険小説のような日々を過ごしていたそうだ。今は、もの静かなおばあちゃんだけど、そんな昔話を聞くたびに、<ぼく>は尊敬してしまう。
  それなのに、おばあちゃんのプレゼントは、ふだんと変わりのない、塩でにぎったおにぎりだった。<ぼく>は、感謝するどころか、腹を立てて、友達のところにもどった。
  けれど、<ぼく>は、友達と遊んでいる間も、おばあちゃんのことが気になって仕方がなかった。おばあちゃんの優しさが、少しずつわかってきたような気がしたからだ……。
受賞のことば
  昔「童話作家」という歌を書きました。勿論今もですが、童話作家に憧れていたのです。自分の悲しみや苦しみを「愛」や「勇気」に変えてしまう人たち。それは魔法です。僕は魔法使いに憧れているのです。傷ついたり、弱ったりしている心への薬でもある童話。僕はまた薬屋にも憧れています。哀しみを夢に変えてしまう名医にも。偉大な浜田先生を記念する賞をいただく光栄に心が震えます。「勇気」をありがとうございました。      
  さだ まさし 
ひろすけ童話賞
  ひろすけ童話賞は、郷土高畠の生んだ童話作家 浜田広介先生の偉大な業績を顕彰し、ヒューマンな愛と善意に満ちたひろすけ童話の文学精神の継承と幼年童話の新しい世界をひらく優れた作品に贈られる。
  第1回受賞作 「だあれもいない?」 あまん きみこ
第2回受賞作 小夜の物語「花豆の煮えるまで」 安房 直子
第3回受賞作 「おちばおちばとんでいけ」 茂市 久美子
第4回受賞作 「まつぼっくり公園のふるいブランコ」 今村 葦子
第5回受賞作 「しいの木のひみつのはなし」 北村 けんじ
第6回受賞作 「ルビー色のホテル」 上? 美恵子
第7回受賞作 「ノネズミと風のうた」 松居 スーザン
第8回受賞作 「きつねのでんわボックス」 戸田 和代
第9回受賞作 「さくらの花でんしゃ」 瀬尾 七重
第10回受賞作 「パンやのくまちゃん」 森山   京
第11回受賞作 「わらいゴマまわれ!」 神季 佑多
第12回受賞作 「なきむしはるのくん」 矢部 美智代


ひろすけ童話賞 贈呈式 パンフレットより


(初稿2004.3 未改訂)


童話作家

作詞/作曲 さだまさし

 私が童話作家になろうと思ったのは
 あなたにさよならを言われた日
 もとよりあなたの他には 生き甲斐など無いし
 さりとてこの世をみつめる勇気もなかったし
 今迄二人が過ごしたあらすじを
 想い出という 消しゴムで消して
 夢でもたべながら ひっそり暮らしてみよう
 あなたの横顔を 思い出さずに済む様に


 私が童話作家になって思うのは
 本当を書くことの難しさ
 だって 私自身がとても嘘つきで
 涙をかくしては 笑って過ごしてる
 原稿用紙に色鉛筆で
 幸せの似顔 描いてはみるけど
 悲しいくらいに 駄目な私の指先は
 気がつけばいつでも あなたの笑顔を書いている

 私が童話作家になろうと思ったのは
 あなたにさよならを 言われた日


19年(昭和5年)
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